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おはようございます。 |
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| そこでポールアンドリューさんの展覧会、「円の変貌」ということで、27歳の時にエールフランスのシャルル・ド・ゴール空港を設計された方です。ちょうど透明のチューブをデザインした、1967年に設計されて、今は関西空港の基本設計、また第二期工事をされておりますけれども、その方との出会いで、フランスで「対極展」をやろうということになりました。「アールフチュール」というのはフランス語ですから、フランス人にとってこれはちょっと恥かしいなということで、それよりも日本語で「対極」というのがいいんじゃないかと。 | ||
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| お互いに何の対極かというと、コントラストですけれども、彼は「円の変貌」ということで、基本的なハードをやっているわけで、私は極端にソフトをやっているわけで、ハードとソフトの対極ということもあります。この対極文化というものは大変おもしろいフィロソフィーで、お互いにフィロソフィーが合ったということです。こういった空港公団の方となぜ仲良くできるかというと、同じフィロソフィーのもとに共通点があるからです。今はないのですけれども、その当時、パリのアベニュー・モンテーニュにお店がありまして、大変広いお店でしたから、そこで展覧会をやりましょうということなりました。ポールアンドリューさんだけではなくて、今のシャルル・ド・ゴールのエフ、その後、インテリアをやりましたジャンミセル・ビルモットさんという方とポールアンドリューさんが私のお店で出会ったのです。そういうことでだんだんだんだん仕事になっていくわけです。 この方は皆さんもご存じで、私がお話をするまでもないのですけれども、関西空港だけではなくて、今、一番すごい新しいハブ空港、上海のプトン空港です。これもポールアンドリューさんの作品で、一番新しいものだと思いますけれども、「一番新しいものは何?」と、今日、来る前にお電話をしたのです。そうすると、北京のオペラハウスをつくっていると。この方のすごいのは、私が尊敬するのは、その国その国の1つの特徴というものを生かす、またないものを生かす、またあるものを生かす。そういうことで、単なる建築物ということだけではなくて、そこに1つの文化を生かす。 |
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| ジャカルタの空港なんていうのは、ハイテクではなくて、本当に木でできた空港で、「円の変貌」は変わりはないのですけれども、あそこの資源を生かした、「らしい」空港をつくっておりまして、「誰がやったの?」というよりも、本当にジャカルタらしいなと。ジャカルタにいて、「ジャカルタなんだ、日本とは違うな」みたいな感じがするのです。ほかにもいろいろありますけれども、アラブのアブダビの空港も、神秘的で日本と全く違うなと思います。アブダビの空港、これは典型的な球でできたもの、それもモザイクでできたものです。 素材とコンセプトは基本的には変わらないのです。だけどそこの国のいいところをきちっと生かしたということで、オペラハウスの写真も見せていただいたのですけれども、これは北京に昔からあったのかなと思うような、ダイナミックですけれども北京らしい、そこの土地にふさわしい、「らしい」建物を建てておりました。 そういうことで、建築家というのはどっちかというと、自分よがりというか、ものすごく作品的な観念があるのですけれども、そこの国の特徴、また生き方をきちんと理解して、1つの建物を将来もずっとみんなが愛してというような、そこが1つのビジョンとして誇りに思う建物をつくる。私はそこをすごく尊敬しているわけです。そこが1つのハードとソフトの対極だと思うのです。 ですから、空港には1つの文化というものがなければいけないのですけれども、どうしても建物と機能そのものだけになってしまって大変難しい。機能、ハイテク技術、そういうものだけになってしまって、人がそこに存在する、人の通過点、もしくは到着、またそこを行き来する、発着到着だけではなくて、便利のみではなくて、そこに1つのおもしろみというものが、ある意味でお祭の精神なんですけれども、そういうものがなければいけないのではないかというふうに思うのです。 なつかしい思い出として北京なんですけれども、またポールアンドリューさんの写真が出ております。私もパリコレクションを22年もやっておりまして、デファンスといえば新しい凱旋門ということで、エトワールと同じ形なんです。本当にダイナミックな計画の中でつくられたこのモニュメントがポールアンドリューさんの作品なんですけれども、私はポールアンドリューさんの作品を自慢するどころか、宣伝するわけではないのですけれども、1つのモニュメントにしても1つの丸、1つのカーブです。自然なカーブということを常に、ああいう真四角の中に丸いものが大変対極的に生かされていると思います。 ![]() |
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| フランスですので、フランス人が多いのですけれども、ジャン・ミッシェル・ビルモット、この方は日本では東急文化村をつくられたのですけれども、今、シャルル・ド・ゴールの内装をされた方です。内装といっても建築家ですから、内装か外装かわかりませんけれども、大変ダイナミックで、大きな仕事ばかりなんですけれども、一番小さい仕事が私のお店の仕事だと思いますけれども、一緒にやっていただいた。そういうことで同じフィロソフィーのもとにいい仲間ができたということで、こういった人と人との出会い、つながりというものがずっとつながっていくわけです。 丸ということは、今、出ていますように、本当に自然なんです。神様がつくったものはすべて丸い形をしているのです。ですから自然ということで、人間が手に負えないものは丸だと思います。ですから丸は完成されたものであって、それに手を加えるということはまず無理だと思います。ですから丸というのは、逆に円形的な建築というものはモニュメントとしてはなかなかいいのですけれども、四角いものは合理的にできていますが、丸はイメージは大変いいのですけれども難しい。というのは完成されたもので、つながらないからです。 ![]() |
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| この丸という不思議なもの、これは本当に無限なものだと思います。常に動いていて、上も下も右も左もないもの、これは宇宙ということなんです。60年代にポールアンドリューさんがつくられた頃というのは、宇宙に憧れた時代です。「2001年宇宙の旅」とかありますけれども、宇宙というのは本当に憧れのことで、アームストロングが月の世界に行ったり、新しい文化、新しい何かビジョンというのが60年代後半でした。そういうふうに宇宙に対しての憧れがあったわけですけれども、いよいよこういうふうに21世紀になってしまったら、憧れというよりも本当に現実的なものになった。憧れというのは、見えないものに対して憧れるけれども、見えたものは憧れではないですね。21世紀になってみて、憧れはどこに行っちゃったかしらということで、それこそ現実的な20世紀と21世紀の違いということで、質の違いが今回いろいろな意味であらわれております。 そういうことで、まだ先の話というのはイメージもビジョンもできるわけです。そういう意味で三、四十年前は21世紀はこうなるかしらみたいなことで、そういう時代でいろいろなものができたわけで、いざ現実的になると、現実というのは四角です。これは四角、中国でも「四角四面」というのがありますけれども、本当に人間社会のことだと思いますし、人間が考えたものというのは全部四角いものです。
これはデザインということではなくて、考えです。1つの観念だと思います。東西南北、わかりやすく合理的に方向です。数学の世界だと思います。数字、計算でできる、計算で成り立つ、またどんどんどんどん変わっていくものです。どんどんどんどんつなぎ合わせられていくもの、そういうことが四角いものだと思います。ですからビルディングなどはどうしても四角いビルができてしまうのは、やはり使いやすいからです。それとどんどんどんどんつなぎ合わせて、人間が安定しているという意味で安心して仕事もできる、生活もできるということです。丸は例えば道の真ん中にポーンと、ボールか何かがあったら、コロコロコロッと転んでいって、全然安定感もないわけです。いわば宙に浮いているというか、全く対極的なものだと思います。 実は1985年に私は北京で初めてのファッションショーというものをやりました時に、やはり「求めよ、さらば与えられん」で、対極というものを述べているうちに、丸い建築に出会ったわけです。北京にあります天壇公園なんですけれども、これはコンパスで描いた円、先ほど見た漆の丸い重ねです。あれと同じように大きな円からだんだんコンパスの中心まで全部丸でできているわけですけれども。丸というのは本当に不合理なもので、タイルにしても全部形が違って、丸を表現するのは大変です。瓦にしてもすべてだんだん中心に放射状になっていかなければいけないので、本当に大変な高度なものだと思います。これが本当に大昔にできたと。この中心に最後の点は、「天仰ぐ」ということで天壇公園という、歴代の王様が天に仰ぐという、本当に歴史的な建物だと思います。 |
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| それに対して丸と四角の対極ということで、天安門広場にあります紫禁城です。これはすべて四角でできていて、四角四面、どろどろした人間社会の典型的なものだと思います。ご存じの「ラストエンペラー」のように、そういった本当に真四角で丸いものは全然ないわけですけれども、丸と四角、建築で言うとこういうふうにどんどんどんどん増えていかれますから、四角いものがたくさんあるわけですけれども、1つではないです。丸は1つですけれども、四角はどんどんどんどん増えていくわけです。そういう意味で人間が考えた典型的なものということだと思います。 | ||
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私の作品では丸ということで、本当にシンプルです。丸というのはシンプルで、本当に単純です。色で表現すると赤と黒、1日で表現すると昼と夜、明暗ということで、常に2つの対極というものがあるわけです。ですから先ほど漆の真ん丸い、お水の中にポンと石を投げ込んだ時、丸い波紋ができたということ がお洋服にした場合、私の仕事はファッションですから、自分の仕事に置き換えてこういう作品ができあがるのです。皆様、男性ばかりで女性のファッションにご興味があるか、ないか、全くわかりませんけれども、これはある意味でも見方によっては大変建築的な、模型的なものに見えてもよろしいのですけれども、本当に明暗、光と影です。そういうふうに右に曲がると赤、左に曲がると黒みたいに地球が回っている。そのような色合いというか、光と影なんです。ですから方向が地球どおりに回りますと、赤とか黒とかというふうになりまして、人間というものは動いて初めて美しいものですから、動いて不思議なそういったおもしろいものがそのコンセプトから生まれたものであります。 |
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| うちは洋装店なんですけれども、小さい時に何で遊んでいたかというと、お洋服をつくって遊んでいたのではなくて、木の板というのがあって、それでよく家をつくって、その中に入ってよく遊んでいたのです。そういうことで「大きくなったら建築家もいいな」なんて思ったことがあるのですけれども、「女性が建築家というのもね……」ということで、そんなことからいつも憧れておりました。 そういう意味で建築ではないのですけれども、こういう考え方から生まれたインテリア、テーブルなんです。日本のコンセプトに「折る、たたむ、重ねる」というのがありますけれども、日本のものというのは畳でも屏風にしても、たためるという凝縮の世界というものをうまく使って、それで大きく表現する。これをばらしますと、小さい半円形だけを壁につけたり、真ん中だけ開けてお花を生けたり、いろいろに使えるわけですけれども、合理的な四角いものと、完成された丸との組み合わせです。丸と四角の対極をうまくバランスをとって、典型的な対極のものを展覧会で出しました。これは今でも使っておりますけれども、大変シンプルなものだと思います。 そういう意味で建築ではないのですけれども、こういう考え方から生まれたインテリア、テーブルなんです。日本のコンセプトに「折る、たたむ、重ねる」というのがありますけれども、日本のものというのは畳でも屏風にしても、たためるという凝縮の世界というものをうまく使って、それで大きく表現する。これをばらしますと、小さい半円形だけを壁につけたり、真ん中だけ開けてお花を生けたり、いろいろに使えるわけですけれども、合理的な四角いものと、完成された丸との組み合わせです。丸と四角の対極をうまくバランスをとって、典型的な対極のものを展覧会で出しました。これは今でも使っておりますけれども、大変シンプルなものだと思います。 |
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| やはりインテリアというと実際に使うと、こういった機能的なものを使うということです。使うということはアートではないと思うのですけれども、見るだけではなくて、実際に使うということです。三角になると途端にイメージが違うわけで、本当に変化していかれる。四角いものは変化していかれると、日本の「折る、たたむ、重ねる」という、そういったことが日本の基本的な昔からのコンセプトです。実は日本の建築というのは空間的で天井が高くて、本当にシンプルな自然な木を使って、本当にいい建築だったわけですけれども、今や名残がほとんどありません。ほとんど西洋の建築をされて、日本というのは大体地震国ですので、そういった鉄の建物、西洋の文化というのは石と鉄でできたもので、そういったものを取り入れなければ本当にもたない時代なんですけれども、そういった西洋の文化と日本の文化をうまく融合させたものが大変重要なことだと思います。具体的な強いもの、硬いもの、強力なものというのは、大変必要なんですけれども、そこに見えない精神的な人間のやさしさみたいなものは、これは常に常に研究をして忘れてはいけないものではないかと思います。 ちょうど同じ頃なんですけれども、1992年にバルセロナオリンピックがありまして、その時に荻村伊智朗さんという卓球界では大変な方なんですけれども、その方からトロフィーをつくってくれないかということで依頼がありました。それで「対極」というコンセプトでやりたいのだけれどもいかがですかと、それをコントラストとか、横文字にするのではなくて、日本語でいいですということで、「対極」というテーマをつけているのですけれども、これを見た途端に、彼は本当に1時間も話が止まらなくなったのです。これがビジョンだと思うのです。底辺という1つの大衆文化、これがトップを目指すということで、トップは1人です。下は大衆、上はトップです。これを見るだけで何か1つのビジョンを感じるという、そういうものが1つのトロフィーのイメージにもあるわけです。それと丸と四角の対極ですから、角があって、四角は角の一部があって、内側は丸い、本当にシンプルできれいな丸い形になっているのですけれども、丸と四角、それと片方の四角いほうはマットな感じで光っていなくて、丸のほうはピカピカに光っているのです。そういうふうに光と影ということで対極なんですけれども、スポーツはすべて勝たなければだめだということで、光というものが大変重要なことですが、その中にもやはり忍耐とか影があるという、やはり常に2つが1つなんです。ですから光を浴びている時が一番いいのですけれども、影の時代もあるということで、これを見て、彼は本当に大変ビジョンを感じて大変喜ばれました。トロフィーという本当に1つのシンボル的なものです。 ということで、日本というとお相撲です。フランスのシラクさんなどもお相撲が大好きで、何度も何度もご覧になっているのですけれども、パリの話ばかりで申し訳ないのですけれども、お相撲のパリ公演というのをやりました。横綱の兄弟がおりまして、貴乃花と若乃花、たまたま昨日、私は羽田から関西空港に来ました時に、羽田空港で若乃花にバッタリ会いました。それで不思議だなと思いました。もう引退されまして、家族で旅行するということでばったり会ったのです。「今、福岡場所ですね」と言うと、「いやあ、僕はもう関係ないんです」と、ちょっと寂しかったのですけれども、若乃花と貴乃花、本当にいい兄弟です。 若乃花は今、出ておりますが、若乃花は花田勝といいます。すべてに勝ると、すべてというのは東西南北のすべてですから四角い。それでこちらの花田家の紋というのは四角い紋なんです。ですから私は恐らく長男ですから跡継ぎをするのかなと、その当時はそう思っていました。全部を四角にして、四角の頂点を中心に置いたのですけれども、兄弟というのは難しいものなんですね。それで貴乃花のほうは、花田光司です。光ですから、これは丸と四角の対極、まさしく2人の対極なんですね。そんなことでやはり光は丸ということで、丸というイメージの対極ということで、兄弟の対極をお2人に平等につくったわけです。 そういうことで、私自身のコンセプトというのは常に常に、恐らく一生このコンセプト、理念、フィロソフィーを使っていくというか、これ自身がいろいろな意味で表現できるものであるのではないかと思っております。 |
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これはニューヨークのメトロポリタンミュージアムでファッションショーをした時のポス ターなんですけれども、やはり光と影ということで、丸というテーマ、対極というテーマでやはりファッションショーをやりました。そういうふうに常に対極のコンセプトの中に、例えば今、人間の器ということでお洋服というものがありますけれども、人間の体にたとえるならば、実際には私は一番重要なのは、人間というのは目だと思います。両目です。片目だと勘違いするわけです。やはり人間の体の中は全部丸い形をしておりますので、こういった丸を表現しておりますけれども、両目というものは2つが1つで焦点が合うのです。ですから片方ではちょっと勘違いすると思うのですけれども、常に焦点が合うというのは2つが1つなんです。ですからこれは焦点が合うということは意見が一致することと似ているように、焦点が合うということは大変重要なことだと思います。ですから焦点が合うということ、これが両目の意味だと思います。 それから、両耳もそうです。音楽も片方だとこっち側しか聞こえないのですけれども、全体に聞こえる、両耳ということ、この2つです。不思議と全部人間の体に2つあるわけです。鼻もそうです。それとまとめて口がどういうわけか1つなんですけれども、そういうふうに右脳、左脳とか、心臓にしても何にしても、とにかく2つが1つというので、間違いなく表現できる。 一番典型的なのは両手です。手が2つある。この2つが何でもできるのです。だけど右利きだということで、やはり右利きだから右だけでいいんじゃないかというけれども、左手があるからバランスがとれていくのです。それが7対3であろうと、5対5であろうと、9対1であろうと、それはかまわないのですけれども、とにかく人間のビジョンとか、フィロソフィーというのは遠くに求めるものではなくて、この内に自分自身の体に、目の前の、皆さんは自分自身にすべて持っていて、そこから生み出されたものがオリジナルだと思います。ですから外に求めるものではなくて、自分の体に持っているというものがある意味では基本なのではないかと思うのです。 特に対極で言うと、男と女があるということです。ですから空港というのはハードな世界で、男社会の考えたものなんです。大変ハードなものなんですけれども、どういうわけか私が呼ばれたと。21世紀は女性の時代と言われております。そういう意味で田中真紀子さん、頑張っておりますけれども、とにかく女性がどういうふうに感じるか、女性というのは実は現実的なんです。本当にいいものはいいと言えるし、先のことはよくわからないのですけれども、先のことは男性が計画的にやってくださるでしょうけれども、女性というのは大変現実的です。ですから目の前にあるものに対しての反応はすごく早いです。そういう意味で常に計画の先の話は全く見えないです。見えない世界を男性が計画して、見える世界を女性が反応するというか、そういう意味で見えるものと見えないもののが常に対極にあると思いますので、本当に対極という1つのコンセプトというのは役に立てばいいなというふうに思っています。 そういうことで、人間というのは本当に常に忙しい。常にビジョンを持っているわけですけれども、やはり空港を通じてどこどこの国に行くにしても、とにかく交通の便とか、そういうものが常に動いてなければいけない。ただ、これからの空港というものはこういう時代ですので、20世紀と21世紀は大変質の違うことをいろいろ経験をいたします。 こういう話をするのはやめようかと思ったのですけれども、ちょうど9月11日は私もヒースロー空港にいまして、日本から携帯で電話が入りました。今、ニューヨークは大変だと。恐らく今回のシンポジウムはそういうことがたくさんあると思うのですけれども、今、これは逆にこういう時にこういった会議をして生かさなければいけないし、タイミングがいいのか、悪いのか、本当にそういった使命で皆さんはいらっしゃると思うのですけれども、私もそこにいたというのも、ある意味で使命なのかなと思うのです。運よくJALだけ動きまして、あとは全部キャンセルで、荷物を持った人がうろうろしていて、帰らなければいけないということで、空港は大変でした。 そういった大変不思議な時にいたということも、本当にこの時代に何か見せられたものなんですけれども、そういう意味で、北京にしても、ハバナにしても、ハノイにしても、カトマンズにしても、昔の小さい空港の時というのは、本当に何かチャーミングですごく思い出深い空港でした。空港に着いた途端にハバナなどはなんか急にサルサを踊りたくなるような、「らしい」空港というような経験がありました。 ハバナの場合は、産業ではなくて、文化交流ということで初めてファッションショーをしたのですけれども、やはりお金じゃないなと。人間が明るいというのは音楽、また1つの何かお金の額ではなくて、人間自体が何か素朴なものというのは楽しいし、美しいものだなというふうに思います。 最初にやった人、私が最初ですので、絶対忘れない。中国もそうです。絶対忘れないということで、中国の発展もそうだと思います。1985年のファッションショーの時に、空港から馬車で荷物を移動したのです。そんな時代で、タクシーはまだなくて、本当に電気も暗くて、何トンという電源を急遽入れてもらったり、そんなことを体験しました。今は全く違って、たった十何年の間に大変進歩したわけです。ファッションの持つエネルギーというのは、これは誰でも平等に持っているわけで、憧れというのは大変重要なことで、そういう人たちがどう生活していくかということ、この根本的なことが何か重要なことかと思っているのです。 ですから、これからの空港というのも、何かいいことをお話ししたいなと思うのですけれども、先日ケニアに行きました。ケニアに行った時、途中9時間もトランジットしなければいけないと、ナイロビから乗るわけですけれども、その9時間というのは大変に退屈で、どうして過ごしていいかわからない。これはシンガポールで9時間なんですけれども、私はどうしても外に出て、シャワーもしたいしとか、いろいろなことを思ったのですが、みんなはどうしているんだろうと、どうやってこの9時間を過ごすのかしらと。9時間というのは半日どころか1日そこにいるわけですから、これをもっともっと有意義にしなければいけない。それも真夜中でしたら、ただ寝ればいいじゃないかと言いますけれども、飛行機の中でさんざん寝ておりますから、全然眠くないのです。飛行機ではゆったりと寝て、空港はそこの文化やいろいろなものを紹介したり、楽しんだりしていいんじゃないかと思うのです。そういう意味でいろいろな疑問を感じました。 ハブ空港24時間というのは常に地球は眠らないわけですから、眠らない工夫というか、それもそこに降りないでトランジットしか行かない時もあるわけです。そうなると、その街にまるで行ったみたいに何か有意義だったと、かえってそこにいるほうが楽しいよというような、そういったちょっとした口コミから、では同じトランジットだったらここを経由して行こうかと、そういったおもしろい計画が幾らでもできるのではないかと思うのです。どうしても男社会でハードな方が大変多いので、もっともっと女性の意見を入れていただいて、そこで何を楽しむか、それ以外に楽しむだけでなくて、1つのフィロソフィーを持った独特のそこの街の特徴とか、文化を紹介できる。ただ映像で紹介するのではなくて、本当に体現できるいろいろなことがあっていいのではないかと思うのです。 オペラハウスがありますシドニー、そういう意味で空港のすぐ横にオペラハウスがあったり、そこにはいつでもトランジットの人が行けるとか、何かいろいろなことが可能になって、空港という1つのハードが1つのソフトを演じる、その大きなバランスというものが重要なことだと思います。ですからそこには聴覚、視覚とかありますけれども、実際に五感で感じるという意味で、視覚というのは見るということですけれども、くたびれていればいろいろなものは見たくないなというのはあるのですが、目をつぶっていても楽しいというような音楽とか、「でもこの際、見てしまおう」みたいな、そういう意味で展覧会とか、オペラとか、そういう情報を、空港の文化を世界に流すようなシステムになればいいかなと思うのです。 視覚、触覚、聴覚とありますけれども、触覚ということで、そういう意味でサウナに入りたいとか、お風呂に入りたいとか、マッサージをしてほしいとか、女性ならエステをしたいとか、ネイルをしてほしいとか、そういう意味でこの際美しくなりたいとか、普段は時間がないからこういう時にこうしたいというような、そういうものの可能性というものが、やはりビューティーというものをもっと充実させれば、時間がたっぷりとあるので、この際ゆったりと美しくなりましょうという意味で、そういうものもあったらいいなと思います。 聴覚という意味ではコンサートです。コンサートとか、そういった紹介というのもありますし、一番重要な味覚というのがあります。お腹はもういっぱいですから、飛行機の中でいっぱい食べましたから、そういう意味で味覚の観念はないかもしれないのですけれども、ただそこの国の特徴的なものがもしあれば、ちょっと食べてみようかと、あそこで食べたけれどもすごくおいしかったとか、そういうこともお客様が全部そこの国の紹介をしてくださると思うのです。ですからそういう意味で食べるという食文化は世界に通じる大変大きいものだと思います。 あとは嗅覚ですが、世界中同じ免税店といいますか、そういう意味では大変似ているもの、同じようなコンセプトで物を置いていて、本当にどこで買っても同じなので、見なくてもわかるというような感じなんです。初めて行った人は別ですけれども、何度も空港へ行っている人はもう見なくてもわかるわというふうになる。ですから「どっちみちルイ・ヴィトンでしょ」「どっちみち何とかでしょ」みたいな感じで、そういう意味では同じものを置くというのが空港ではないと思うのです。やはり便利というだけで、特徴があまりにもなさすぎる。 ある時、タイの空港でタイの手織物のお店があったのですけれども、やはりタイに行かないと買えないというものがあるのです。どこのお店にあるかわからないし、それを探すような時間もない。でもたまたま空港にあったと。今度行ったらもうなくて、また別の違うものがあった。同じものがずっとあると、要するに展覧会形式のショッピング、ブティックです。女性は買い物をしたいわけですけれども、展覧会状態のショッピングというのでしょうか、ずっと同じものがあると、何度行っても一緒ですから、1回買ったら次は行かないです。見ないです。そういう意味で展覧会形式のショッピングというのでしょうか、そういう意味で見るだけでも楽しいですけれども、見たらやはり買いたいというのが本能なんです。そうやって買い物の楽しみというもの、そこの特産物、そういうものをコンテンポラリーに、民芸的にということではなくて、その国のその空港にふさわしいレベルの高い空間、レベルの高い空間というのは、やはりレベルの高いものを置かなければいけないと思うのです。そういうジャッジというか、ミュージアムでは、キューレーターとか、いろいろいますけれども、そのキューレーターというものが空港のマネジメントとして、空港文化として、そういった目利きとか、そういう人がいていいのではないかと思うのです。 本当に今は便利で、ハード、そういった機能的なもののみであって、そこをただ通過するのみであって、そこを楽しむということがない。私は何時間も関空にトランジットしたことはないのですけれども、きれいな空港ですけれども、本当に外国の方はどういうふうに思っていらっしゃるのかと。ただ、成田になると、降りた途端にここは東京かな、どこかなみたいなことで、千葉なんですけれども、そういう意味で本当に日本の顔というものが、やはりどの空港に降りようが、最初に降りたところが日本だと思うのです。それで責任があると思います。だから日本という顔をやはりこの空港に、またそれぞれの国の空港に、今は日本をたとえておりますけれども、それぞれの国の顔が初めて降りた空港で責任があるのではないかと思います。 そういう意味で人にやさしいというか、デザインの原点とは何かというと、やはり整理することとか、あるのですけれども、基本的には人のためにあるのです。自分勝手ではなくて、人に喜ばれるためのデザイン、いわゆる日本の成功とは何かというと、サービス業、サービス精神なんです。外国にはないこと、新聞配達とか、出前とか、その類は外国にはテイクアウトというのがありますけれども、自分で行って自分で持って帰ってくるのは別ですけれども、配達してくれるということがあります。このサービス精神というのは、これは昔から当たり前のことで、本当に新聞が自宅に配達される。昔は牛乳配達とかありましたけれども、そういう意味で日本は本当にサービス精神が基本だと思うのです。そういう意味でサービス精神のある、本当に人の温もりのある空港というものが、これからハードハード、巨大巨大だけではなくて、巨大の中に本当に凝縮の世界、本当に温もりの世界、ヒューマンな世界というものが空港にあらわれてほしいと思うのです。 ですから、人のためにある、人に喜ばれるためにある、人がよくなるためにある、人の発展のためにあるのではないかと思うのです。そこを通じて1つの発想の転換というか、ここを通ったからこういう発想ができたとか、1つの出会いがあるという意味で、それについて考えますと、いろいろやることがあるのではないかと思います。人の幸せのためにやる。この「人の幸せ」というのは、安全、セキュリティーの問題だと思います。やはり高度なセキュリティー、セキュリティーとチェックだけでものすごい時間がかかってしまって、テロのことで急に時間がかかってしまって飛行機は遅れる。それだけで大変ハードです。 はっきり言って何かわかりやすい方法は、もっともっと研究しなければならない。この時期に、今、改めて研究しなければいけない大きなテーマがある。そういう意味で今回は大変タイミングがよかったような気もいたします。私自身の体験でそういうふうにお話をしてあれなんですけれども、対極で質と量とありますけれども、ただ量、本当に拡大、巨大ということだけではなくて、やはりそこに合う質のいい空気を醸し出す、質の高い空気、質の高さというものが本当に大変重要なことだと思います。 ここでもう一つ、日本には漢字というものがあります。日本の漢字のすばらしさというのは、外国の方は日本の漢字を見てもピンとこないかもしれないのですけれども、目で見て大変ジビュアルでわかりやすくていいものなんです。例えば「美味しい」という字、「美味しい」という字は、美しいだけではなくて、本当に目で見て美味しいわと、食べれば美味しいのですけれども、食べる前に目で見て美味しそうという、人間はどうしてもビジュアルで外観でまず判断します。外観を見て、「あっ、いいな。美しいな」と、これは大切なことです。これは計画的にもいろいろな意味でできます。それとその中身です。美しい味の中身です。中身というのがやはり大切な問題で、いろいろなことがありますけれども、中身というのは本当に食べてみないとわからない。味です。だからいい味を出してもらいたい。だから外観だけではなくて、いい味のもの、この中身の問題、中身が今は問われる時代ではないかと思います。そういうことで、漢字からも大変教えられる。日本は何がいいかというと、漢字というものもなかなかいいです。 もう一つ、好きな字は「明日」という字なんですけれども、「明るい日」と書くのです。だから明日は暗い日ではなくて、明日は明るい日だと。ですから何となくうれしいじゃないですか。明日は明るい日と、もう字が書いてあるのですから。そういう意味ではビジョンを持って前向きに進んでくださればと思います。 最後に「10のSU」というのを述べたいと思います。そこにもちょっと書いてあると思いますけれども、「10のSU」ということで、1つはスペース、空間です。やはり巨大な空間のある建物というのはすばらしいと思います。高度な空間というもの、スペースです。また同じSUでスマート、スマートに、カッコよく、やはりカッコいいものに憧れますよね。それからスピリット、魂、心のある、気持ちのあるということでスピリットです。それからストロングは強い、強いものというのはやはり先ほどのお祭ではないですけれども、パワーとか、活気とか、そういう意味で大変強いものというのはすごいです。スペシャル、特別なコンセプト、またフィロソフィー、特徴のある、計算された高度なもの、スペシャル、スペシャリストです。スペシャルなものです。またそこにスリムということ、おしゃれで無駄のないというスリムということも重要だと思います。そこにもう一つ、スマイル、常に人間はいいものを見ると、ついついいい笑顔になるのですけれども、やはりいつもにこやかにサービス精神のあるスマイルというものは重要なことだと思います。厳しい顔をするのではなくて、ニコッと笑うだけで何となく幸せな感じがします。それからスラローム、何か流れるようにさわやかにという、自然の摂理に従ってということがやはり重要なことだと思います。あとはスムースにということで、速やかにさりげなく、おしゃれにと。そこでスピードです。飛行機で言うとスピーディーにと、何事もスピーディーにということです。 そういった私自身の「10のSU」ということで、ちょっと考えてみたのですけれども、そういった具合にこれからの大切な考えるべき時代に何をしていけばいいかというと、そこの国に皆様はそれぞれフィロソフィーを持っていますかということなんです。それをどこかのものまねではなくて、どこかのどこそこみたいねというのではなくて、「らしさ」というものを表現してほしいと思います。私自身も皆様も、みんなそれぞれにやはり「らしさ」というものが一人ひとりの個々の人間の存在であるし、また個々の空港の存在であります。同じものがマニュアルの中に生かされていくのではなくて、マニュアルどおりにしていくことも大切なことですけれども、そこからもう一つ、人間の本当に大切な温かみというものを忘れないでほしいし、日に日に変わるということなんです。 ですから、マニュアルだと今日と明日は同じものを使っていくわけですけれども、常に現実的ですけれども、今、1つ何があってもガタッと崩れる時代です。ですから、その都度のタイミングを常にセンスのよさで、「センス」というのは辞書で引きますと、感覚とか、そういうのは当たり前なんですけれども、状況判断ができるということ、これがセンスの根本なんです。昨日もサッカーをやっておりましたけれども、日本もセンスがよくなったなというのは、いいタイミングでいいシュートを入れるのが、これが本当のセンスのよさなんです。ですから、イタリアと日本、日本はこんなふうにまだレベルが下なのに、1対1でドローで、勝ったわけではなくて、同点ということはすごいレベルが高くなったな、いいセンスになったなということだと思います。 そういうことで、これで終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。 |
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Kansai International Airport Land Development Co.,Ltd |